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2008/12/13 (Sat) 「奪取」 真保裕一
2008/05/08 (Thu) 千里眼シリーズ

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天使のナイフ   薬丸 岳
第51回江戸川乱歩賞受賞作。

この話は、「さまよう刃 icon(東野圭吾)」のように家族を少年に殺められた男性が主人公です。最初同じような話なのかと思っていました。
娘を殺された父親(さまよう刃icon)と、妻を幼い娘の目の前で殺された夫(天使のナイフ)。さまよう刃iconでは、残酷なシーンや苦しいまでの悲しみや憎しみが描写されていて、読んでいて苦しくなったので、天使のナイフでも苦しくなるのでは・・・と覚悟して読み始めましたが。題名からもなんとなく想像がつくように、残虐さは薄かった(さまよう刃よりは)と思います。
前者が遺族側の視点から描かれているのに対して、こちらはより客観的視点という感じがしました。前半は遺族よりの視点、後半は客観的な視点という感じがしました。あくまで私の主観ですが。
この視点とは、描写(文章)の視点ではなくて読者の視点(筆者の視点かもしれないですね)のようなものだと考えてください。

読みながら、サスペンスものの2時間ドラマのような情景が浮かんできました。4歳の女の子の登場の仕方や、最初から怪しい感じの妻の昔の友達だという保育士。影のあるアルバイトの女の子も最初から怪しい感じがしたところも2時間ドラマ風でした。
少年法を考えるよりも推理したとおりに話が進む心地よさがあり、推理小説としても十分おもしろく読ませてもらったし、後味もさまよう刃iconほど悪くはないですね。ただ、読み終わった後、ずっしり胸に残る重みもなかったです。
さまよう刃iconのほうは、ドラマではなく痛ましいニュースを見た後のような気持ちになりました。ああ、ノンフィクション映画みたいな感じでしょうか・・・。天使のナイフのほうがより「小説」という感じでした。事件の背景も違うので、両者を単純には比べられないかもしれませんが、どうしても比べて読んでしまうんですよね。
これは客観的視点でどちらの心情も事情も描いてあり、少年法についても厳罰化というよりは裁判や更生教育についての見直しを考えさせるという内容。
でも、実際の被害者や遺族はそれでは納得できないでしょうね。

これだけ、毎日いろんな事件が起きて、毎回被害者や遺族側を守ることが議論されているのに。10年前から変わったことといえば、少年法の処罰対象年齢が少し下がっただけ・・・。加害少年の名前は伏せられ過剰に保護されるのに、被害者や遺族を保護する制度はまだほとんどです。
事件の詳細や動機などの捜査情報も公表されず、さらには裁判(審判)も非公開。なぜ事件が起きたのがもわからない・・・。これでは少年犯罪の防止を考えることもできません。
憲法改正を議論するのも大事でしょうが、こちらを早急に考えてほしいですよね。


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容疑者Xの献身

数学の天才である主人公が、本当の犯人である愛する女性を守るために
自分を容疑者「X」とした数式(完全犯罪)をつくる。
その数式は完璧だった。だれにも理解できないと思っていた。
けれど、昔の友人(湯川)が彼の数式を、彼を理解できた。
誤算だったかもしれないが、
彼を本当に理解してくれる友人がいた。

これまでもこれからも孤独だと思っていた彼が
最後に流した涙は
絶望の涙だけではなかったと思う・・・。

    *****

東野圭吾は本当に読者に感情移入させるのがうまいと思う。
自分とは全く違う人、それも普通に読んだらなかなか感情移入できないような人物に、思いっきり感情移入して追体験をして、涙を流してしまえる・・・。
特に目新しい題材や内容でもなく、展開も予想できるものなのに。
真っ直ぐな表現や心理描写は、筆者の人柄を想像させる。

家ではなく外で(電車の中や街中のカフェで)読んでいたので、「絶対にこの本では泣かないだろう!」と思っていたのに・・・我慢できずに涙が・・・はずかし(*>_<*)。
でも、東野圭吾に泣かされない!という戦い(勝手に戦ったんだけど)には負けたけど、それがちょっとうれしかったりする・・・。

昔、人魚姫の絵本を何度も読み返しては「今度こそ王子様に振り向いてもらえて幸せに・・・」と祈った。
次こそは変わるはずのない結末がハッピーになるのではと思いながら
何度も何度も読んだっけ。
この本をもう一度読んだなら「Xが愛した女性に、振り向いてもらえたなら・・・」と祈らずにいられないような。大人の童話のような物語かも。

☆ここから先はネタばれになるので、読みたい方だけどうぞ☆↓
(ここまでも十分ネタばれですみません・・・)


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