


「猿の証言」
(北川歩実)は5年ほど前に読んだ本ですが、ブログを書くためにもう一度読み直してみました。チンパンジーの言語能力を研究する科学者・井手元の元で飼育されている天才チンパンジー、カエデ。人間の言葉を理解しているというカエデと失踪してしまう井手元。井手元の行方を捜す妹の深雪は、井手元が暮らしていたらしい家で、ソラという子供のチンパンジーを見つける。ソラは井手元の身に起きた事件を目撃していると考えた深雪は、ソラが見た事件を証言させようとする。行方不明になっている深雪の夫・久里浜と井手元を捜すうちにいろいろなことが明らかになっていくが、最後まで真相は全くわからない。
チンパンジーが人の遺伝子ととても近いということは最近でも話題になったので、ある意味タイムリーな話ではないかと思う。
言語能力や脳の話、「人間とは何か?」という考え方も、いろいろな登場人物がそれぞれの考えを語っているので興味深い。詳しい知識がなくても、この本を読めばだいだいの意味は理解できるように説明してある。北川歩実の本には、子供の能力についての研究、動物と人間の脳についての研究などを題材にした話がある。小説なのでもちろん架空の話なのだろうが、現実に起こりうる気がしてとても考えさせられる。
ここからはネタばれになるので、「猿の証言」
を読んだあとに見てください。純粋に研究のためにチンパースンというチンパンジー人間を誕生させようとしたのかと思って読んでいたら、実は井手元も赤井も愛する人に愛してもらえなくて屈折した想いを抱えていて、それが動機になって事件につながっていたらしい。それぞれの野望や思惑が複雑にからみあって、たくさんの事件が連鎖して起こったということなのだろうか?純粋に研究を極めたいという研究者の想いは共通していると思う。
タイトルの
「猿の証言」
とは、ソラの証言のことだと思っていたら、
リクの証言のことだったんだと最後にわかる。そして、井手元を殺したのはリク?じゃあ尾沢は、リクを庇って自分が殺したと言ったってこと?リクは図形文字を知っていたし、尾沢に自分が殺した証言した。カエデもそれを目撃していて証言したんだろう(これがタイトルか?)。やはりカエデにはかなりの言語能力があるし、リクとカエデは図形文字で会話していた。井手元が虐待していたのは事実かもしれないけれど、尾沢の証言がどこまで本当なのかがわからない。だって、井手元の研究はある意味で成功していることになる?チンパンジーのカエデと、人間のリクの言語能力の研究において。
この先、どういう展開になったかは読者の想像におまかせということなのだろうけど・・・。もっと先が読みたい!!!


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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌